簡易シナリオ集:魂を削るもの:「第4章 水晶の振り子」
【導入】
これは前回からのシナリオの続きです。
PC達がデッドエンド老人の小屋を探していると、共振現象と固有振動数についての参考文献がいくつか見つかります。ハンドレッド・コークスは、それを見つけると、顔色を変え、自分は「水晶の振動子」という存在についての文献を検索する、と主張します。もしも不審に思ったキャラクターがいた場合には、彼に理由を問うかもしれません。逆に、誰も不審に思わない場合にも、コークスは一人で納得したように自らの素性を明らします。彼は自分をデッドエンド老人に私的な教育を受けた物理学研究者だと言います。彼は老人の最後の弟子であり、秘蔵子なのです。
コークスは自分にはツテがあり、これらの研究の様々な論文を手に入れられると言います。彼についていくPCがいても良いでしょう。
コークスはPCに対して、デッドエンド老人の行方を追い、また何か共謀するおかしな動きが無いかを追って欲しいと頼みます。それはデッドエンド老人と共に行動していた自分では顔が知られていることもあって無理があると主張します。また大規模な事件を発生させようとしているのであれば、必ずや共謀する集団があるはずだとコークスは付け加えます。
【展開】
PCが博士と共謀していると考えられる集団について調べていると、そこに「月光派」という存在が見え隠れすることがわかります。「月光派水晶力研究所」という組織が、デッドエンド老人の裏にいるらしいということが明らかになります。この組織について調べると、倫敦郊外に研究施設を構える研究施設であり、主に電気関係の基礎研究をしていることが明らかになります。この組織に公式に問い合わせても、何ら回答はありません。この組織に所属している研究者に直接アクセスし、デッドエンド老人のことを尋ねると、彼に強力な「遠隔発振器」を貸したということがわかります。その「遠隔発振器」はイタリアのウイリアム・マルコーニという青年のものを応用したものだと注釈されます。
■準備すべきデータ:探索作業自体の道のり
■準備すべきデータ:研究者とどう連絡を取るか、またそのための妨害と解決策
振動子研究についての文献を調べているコークスからは、1880年にフランスの物理学者ジャック・キューリーとピエール・キューリーの兄弟が、六角柱の水晶結晶に圧電気現象(ピエゾ効果)がある事を発見したという情報がもたらされます。これは水晶の結晶に圧力を加えると、その表面に電気を発生させるという性質です。また、逆に電圧を加えると、水晶に固有の振動数と一致すると、強く共振するという性質もあります。
【結末】
「発振器」の影響力は、倫敦を覆うほどのものだということがわかります。このことはある固有の周波数を倫敦全体に届かせることが可能だということです。また、遠隔発振器はデッドエンド老人の小屋や、彼の研究所にも存在しません。老人の元助手ウイリアム・コックスは、そのような装置は今この研究所には存在しないと語ります。全ては振り出しに戻ったのでしょうか。そして、時間はまだ残されているのでしょうか?
【備考】
『熱い魂を持つ者』自身が何らかの共振子として働いているのではないかという推測が成立するかどうかはPC次第でしょう。このシナリオも最終話へと続きます。
ハンドレッド・コークス自身は、『熱い魂を持つ者』ではありません。したがって、どんな『熱い魂』への攻撃も無効です。また、彼を「呼び込み」することはできません。
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